女性消防士の採用は全国的に徐々に増えています。
2014年度の全国消防職員の数は16万1,244人であり、うち女性消防職員は4,290人です。4000人以上の女性消防職員が採用され、全国で活躍しています。
採用時の倍率や体格基準、採用後の訓練はどういうものかみていきます。
枠と倍率はどれくらいなのか

全国的に女性消防職員が増加しているのは事実です。
しかし、東京消防庁などの大都市部消防本部に偏っているのも事実です。地方によっては、全く採用していない消防本部もあります。大都市部では、女性消防職員の採用枠が確保されている場所もあります。
近年、消防職員になることを希望する女性が増えているので、自然と採用枠が確保されている都市部の消防本部に人気が集まりますので、倍率も高くなります。
体力はどれくらいいるのか

体力試験は、男女一緒に行うところがほとんどです。
体力試験内容は「新体力テスト実施要綱(20歳〜64歳対象)」を基準にしているので、厳しい内容ではありません。握力や腹筋、反復横とび、シャトルランなどの基礎的な内容です。
飛びぬけて体力があれば一目置かれるのは間違いありませんが、大事なことは、消防学校に入校してから体力的についていけるかどうかが重要なのです。基礎的な体力があれば問題はないと思われます。
しかし、女性消防職員といえども、体力は必ず要ります。現場はそんなに甘いものではありません。勉強ばかりでなく、日頃から体力練成をしっかり行うことが重要です。
体格の基準はあるのか

東京消防庁の体格基準を例としてあげると、おおむね以下のとおりです。
男性
- 身長:おおむね160cm以上
- 体重:おおむね50kg以上
- 胸囲:身長のおおむね2分の1以上
- 視力:矯正視力を含み、両眼で0.7以上、かつ、一眼で それぞれ0.3以上、赤色、青色、黄色の色彩の識別ができること
- 聴力:左右とも正常
- 肺活量:おおむね3,000cc以上
女性
- 身長:おおむね155cm以上
- 体重:おおむね45kg以上
- 胸囲:身長のおおむね2分の1以上
- 視力:男性と同じ
- 聴力:左右とも正常
- 肺活量:おおむね2,500cc以上
訓練はどんなものか

消防職員になった後、いきなり消防署で働くことは、例外を除いてほぼありません。
ほとんどの職員が消防学校に入校し、消防活動で必要な知識と体力を約半年間で身に付けます。
訓練の内容は男女皆一緒です。防火衣を着て走る、ホースを担いで走る、梯子をのぼる、救助訓練でロープを渡る、高いところからロープで降る、そして毎日の体力練成など、訓練は盛りだくさんです。
女性だから訓練を甘めに見てくれることは一切ありません。教官からは容赦なく厳しい怒号も飛びます。なので、女性は体力的にかなり厳しいといえます。
消防学校や、所属に配属された後の訓練を考えると、体力がいかに重要であるかが理解できるはずです。
夏の暑い日にも分厚い防火衣と呼吸器を背負ってホースを運ぶのです。しかし、これらの訓練を超えた人だけが、いかなる現場でも乗り越えていくことができるのです。
訓練は厳しいですが、消防士の仕事はこの訓練の厳しさがあってのものだといえます。