消防士の仕事といえば「火を消す」というイメージが強いかもしれませんが、実は消防の仕事内容は多岐に渡ります。
大きく分けて3つに分類されます。
消火・救急・救助を担当する『警防』、火災を防ぐための活動をする『予防』、人事や経理などの事務関連の業務を行う『総務』の3つです。
そのなかでも私たちに身近な消火、救急、救助、予防業務についてみていきます。
消火活動とは

消防士と聞いてまず思い浮かべるのは、火災現場でホースをもって消火活動をする姿ではないでしょうか。
テレビのニュースなどでもよく見かけます。
この消火活動は、消防士にとって最も基本的な活動であり、消防の象徴と言っても過言ではありません。
この消火する姿を見て消防士に憧れる人も多いのです。
火災が発生すると、出動の指令が入ります。
消防士は車両に乗り、緊急走行で火災現場へ向かいます。
現場に着いたらホースを伸ばして消火作業に当たります。
消火活動で最も大事なことは『人命救助』です。火災現場に逃げ遅れの人がいるかどうかの確認作業をします。
もし逃げ遅れがいなければ、次に大事なことは『延焼火災』を防ぐことです。周囲の建物などに燃え移らないように活動します。
小さな火災であっても、既存の建物や物に対して『最小限の被害』に抑えることも重要です。
火災の分類や規模によって出動する部隊の数も違ってきますが、基本的には、水を予め積んでいる『タンク車』が先行して消火活動を行い、そのタンク車に水を補給する『ポンプ車』がセットで現場に向かいます。
その他、救助工作車や救急車など様々な車両が出動し、消火活動をサポートします。
救急活動とは

消防士の仕事で一番多いのが『救急活動』です。
救急出動は、火災出動や救助出動に比べても圧倒的に多い件数です。
近年では救急出動が増加傾向にあり、今後も全国的に増加していくと思われます。
救急活動の主な任務は『けが人や病人のところへ救急車で向かい、適切な応急処置をし、「病院へ搬送する」ことです。
救急現場や救急車内では、必要最低限の応急処置を行い、迅速に医療機関へ搬送することが重要なのです。
基本的に隊長・機関員(運転手)・隊員の3人1組で出動して活動します。
人命に関わる出動の場合、4人で出動することもあります。
救急隊員は全員消防士です。普段は火を消す消防士であり、救急隊員でもあるのです。
都市部では、専属で救急隊をするところもありますが、大多数の消防本部は兼任といってその日によって消防隊、救急隊など変則的に任務に就くのです。
救助活動とは

救助活動とは、事故等で自力で脱出できなくなった人を、様々な救助資機材を使用して救出する活動をいいます。
主に、救助隊がこの活動を行います。
消防隊や救急隊が対応できない現場で活躍する救助隊は、消防士の花形とも言われており、オレンジ色の救助服を着ています。この服に憧れる消防士も沢山います。
しかし、「消防の最後の砦」とも言える救助隊は、いかなる状況でも任務を遂行しなければなりません。
そのため過酷な現場が多く、救助隊員は精神的にも体力的にも強くなければなりません。
ぺしゃんこになった車からの救出や、瓦礫の中からも救出しなければなりません。救助道具を駆使するため、知識も必要なのです。
予防・防火活動とは

消防業務には、現場で活躍はしなくても、とても大事な仕事があります。
それが「予防業務」です。
予防業務は、24時間勤務ではなく、日中だけ働く日勤勤務です。火災を起こさないために様々な業務を行います。
建物が建つときに、検査などを行って安全に関する指導や、火災を未然に防ぐための査察業務、危険物施設などの指導、そして事業所などで行われる防災訓練に出向し防火指導なども行います。
目立つ仕事ではないのですが、火災予防に関わるとても重要な業務なのです。